進歩を遂げてきた印刷技術

現在、高速輪転機などにより生産された様々な文書が人々の手元に届けられます。新聞や折り込みチラシ、本屋さんやコンビニで販売される雑誌や書籍、毎日のように届けられるダイレクトメールなどの郵便物、駅や街角でみかける様々なポスターなど、私たちの身の回りは多くの印刷物であふれています。また、今では自宅のパソコンとプリンタを使って文書を簡単に印刷できるので、学校や職場や町内会で配られる種々のお知らせや案内などを、業者に頼まずに体裁の良いものを簡単に作ることが可能になっています。ですが、こうした印刷技術が確立される以前には、人々は手書きの文書を作成し、それを頒布していました。

そのような手間や時間のかかる作業を不要なものとしたのが、こうした出版技術です。製紙技術の発達していた中国では、考古学上の発見により、古くから木版による印刷が行われていたことが明らかになっています。また、その後の時代のある中国人は、木製よりも耐久性に優れた陶製の活字を開発しました。朝鮮王国でも、王立の施設で銅活字が使われていました。

しかし、この分野に革命的な進歩をもたらしたのが、15世紀のドイツ人、グーテンベルクです。彼は金属製の活字を用いた印刷機により、効率的な文書生産を可能にしました。彼が自分の機械を使って最初に生産したのは聖書という書籍です。このとき生産された彼の聖書は、その一部しかないものも含め、現在でも数十冊の存在が確認されています。